AI 税理士 業務効率化

転記作業の効率化 ― AIとアプリケーション化による業務改善の最前線

2025年09月14日

士業や事務職を悩ませる「転記作業」という課題

会計士事務所や税理士法人における研修の場で、必ずといってよいほど受講者から上がる質問があります。
それが「転記作業をどう効率化すればよいのか?」というものです。

財務報告書の作成や、取引ごとの仕訳入力、さらにはクレジットカード明細や銀行通帳データの整理など、これらの作業は毎日のように発生します。しかも、一度限りではなく、常に繰り返し行う必要があるため、時間的コストが非常に高くなります。

一見単純に思える作業であっても、数字の1つ、文字の1つの誤りが大きな影響を与えることもあり、「正確性」と「効率性」を両立するのが難しい領域とされてきました。士業にとっては専門的な判断に集中すべき貴重な時間を奪われる原因となり、生産性を大きく低下させる要因となっているのです。

一般事務職における転記作業の現実

この課題は士業だけにとどまりません。一般的な企業の事務職においても、日常的に多くの転記作業が発生しています。顧客データをエクセルに入力したり、在庫数値を管理表に反映させたり、会議資料や報告書へ売上データを記入したりといった作業は、どの会社でも共通して行われています。

特に大量のデータを扱う場合、単純な作業の繰り返しは担当者の集中力を奪い、ヒューマンエラーを誘発しやすい状況を生み出します。小さな入力ミスが後々の大きなトラブルに繋がることもあるため、どの現場でも「転記作業を効率化し、できる限り自動化したい」というニーズが高まっています。

なぜAIプロンプトでは限界があるのか?

ChatGPTなどの生成AIを活用すれば、ある程度の転記作業を支援することは可能です。
しかし「プロンプトを入力して都度指示を出す」という方法には、明確な限界があります。

GPTsを作成して対応する方法もありますが、AIの出力結果には揺らぎがあり、毎回同じ精度で処理できるとは限りません。さらに以下のような課題もあります。

  • 同じ作業を繰り返すたびにプロンプトを入力する必要がある

  • 出力内容にばらつきがあり、結果を人が確認・修正する手間が発生する

  • データ量が多いと処理時間がかかり、実用性に欠ける場合があるらない

つまり、AIをそのまま使うだけでは「転記作業を完全に置き換える」ことはできないのです。

解決策 ― アプリケーション化

その答えとして注目されるのが、**転記作業の「アプリケーション化」**です。
一度ルールを設計し、AIや既存ツールを組み合わせて転記を自動化するアプリケーションを作ってしまえば、以降はワンクリックで誰でも同じ作業を実行できます。

これにより、プロンプトの入力は不要になり、処理の再現性や精度も飛躍的に高まります。まさに「人間の労力を最小化しつつ、AIの強みを最大化するアプローチ」と言えるでしょう。

アプリケーション化を目指した要件設計

― PowerPointのタグとExcelデータを連携させる仕組み

転記アプリを実現するうえで重要なのは、単に「ExcelのデータをPowerPointに転記する」という指示を出すことではなく、どのセルの値をどの箇所に転記するのかを正確に定義する設計です。AIや自動化の仕組みが誤解なく動作するためには、入力データと出力先の対応関係を明示する必要があります。そのために採用するのが、PowerPoint内に埋め込む「タグ」とExcelのセルの紐付けです。

タグ設計の基本ルール