―求人文章づくりの事例から考える、次世代のAI活用思考法―
近年、生成AIを取り巻く環境は急速に変化し、私たちの仕事における AI の存在感はますます大きくなっています。
ただし、ここで一つ大切なことがあります。
「AIは使うこと自体には価値がない」 ということです。
多くの人は、AIに指示を出し、結果を受け取る——その一連の流れを"AI活用"だと捉えています。しかし私は普段から、企業や士業の方々に向けてこう提案しています。
「AIに"ただ答えを作らせる"のではなく、
AIを使って"次に何をすべきか"を考えられるようになっていただきたい」
言い換えると、AIを「便利な道具」で止めるのではなく、「成果を最大化するための知的拡張パートナー」として扱う視点が必要なのです。
この記事では、実際にあった 転職エージェント向け求人文章の改善相談 を例に、「AIに指示を出す、その先」に進むための思考法を分かりやすく解説します。
最後まで読めば、あなたのAI活用は確実に一段レベルアップします。
■ AI活用の本質は「入力の質」にある
AIを使う人の多くが誤解していることがあります。
それは、
AIの性能がアウトプットの質を決めている と信じてしまうことです。
実際は逆で、
アウトプットの質は、"入力の質"でほぼ決まります。
どんなに優れたAIを使っても、質問が曖昧であれば曖昧な答えしか返ってきません。これはもう絶対法則と言っていいでしょう。
■ 求人文章を「ただ作らせる」のは、AIの力の1割しか使えていない
あるクライアントから、こんな相談をいただきました。
「転職エージェント各社に掲載する求人文章を、AIで作りたい」
一見するとよくある依頼です。
多くの人はここで、
「では求人広告の文章を生成しますね」
となるでしょう。
しかし私は、こう考えました。
■ 目的="どこへ行きたいか"を考え直す
ここで、車の例え話をしてみます。
東京から大阪まで移動するとします。
軽自動車でも、大型バスでも、乗用車でも移動は可能です。
しかし、車を選ぶ前にまず考えるべきことがあります。
- 荷物を1トン運びたいのか
- 30人を運びたいのか
- とにかく快適に移動したいのか
…これらの「目的」によって、使うべき車はまるで違います。
同じように、AIに文章を作らせる場合も、
「何を達成したいのか」
「誰に届けたいのか」
「どの媒体で効果を出したいのか」
という目的設計が必要なのです。
■ マイナビとリクナビでは"刺さる文章"が違う
転職エージェント各社には、それぞれ特徴があります。
- マイナビ:20代・第二新卒の流入が強い。成長環境や未経験歓迎が刺さる。
- リクナビ:ビジネス経験者や幅広い年代。待遇の詳細や職場環境の明確さが重視される。
- エン転職:企業文化や社内の雰囲気に価値を感じる層が多い。
- doda:転職者の比較検討が激しいため、他社優位性が重要。
つまり、
同じ求人内容でも、各エージェントごとに"書くべきポイント"が変わる。
ここを理解せずに「求人文を作って」とAIに頼んでも、最大の効果は得られません。
■ 本当にAIに頼むべきは「文章」ではなく "戦略" だ
私がクライアントに提案したのは、文章生成そのものではありません。
まず AI に次の質問を投げます。
「マイナビで効果を最大化する求人文章の要点を教えてください」
すると、
この媒体特有の訴求ポイント、読者層、重視されるワードなどが整理されます。
次に問いを重ねます。
- 「この企業の強みが、マイナビの読者にどう響くか分析して」
- 「同業他社との差別化ポイントを抽出して」
- 「応募者を増やすための構成案を3案つくって」
このように"文章生成より前の、戦略の部分"をAIに担わせるのです。
すると、
・媒体ごとの最適な構成
・見出し案
・差別化案
・キャッチコピー案
など、骨格が圧倒的に強い求人文が作れるようになります。
■ 最終的な文章だけAIに作らせるのは、もったいなさすぎる
AIに最終稿だけを作らせるのは、
例えるなら、
「大阪に荷物を届けたいのに、とりあえず車を選んで出発する」
ようなものです。
重要なのは、
- 目的(どんな人材を獲得したいのか)
- 読者層(媒体別の傾向)
- 差別化ポイント
- 応募を後押しする心理導線
- ペルソナごとの響く表現
これらを"AIを使って考えること"です。
そうすることで、
AIの力を10倍、100倍と引き出せるようになります。
■ 読者の皆さんへ:ここからAIは"質問力の時代"に入ります
AIの能力は年々向上しますが、
「質問力」と「目的設計力」だけは、人間にしかできない領域です。
AIは、
こちらが投げた問いの「枠組み」からは絶対に出ません。
だからこそ、多くの人が気づいていない次のステップがあります。
AIに"答え"ではなく、"考えるための材料"を出させる。
これこそが、
次世代の仕事人に求められる AI 活用の本質です。
■ 最後に:AIで成果を出すために、今日からできる行動
この記事を読んでくださった方に、
明日から実践できる3つのアクションをお伝えします。
- AIに結果を作らせる前に、「目的」を必ず言語化する
- 媒体・ユーザー属性ごとに"刺さる要素"をAIに分析させる
- 「文章作って」ではなく「戦略を考えて」と投げかける
これだけで、あなたのAI活用は劇的に変わります。
AIの力は、使う側の思考によって何倍にも膨らみます。
「ただ便利に使う」段階を抜け出し、
「成果のためにAIと一緒に考える」ステージへ進むことで、
あなたの仕事は間違いなく進化します。
この記事が、皆さんの新しい一歩のヒントになれば幸いです。
【私のサポートが必要ですか?】
もし、この「目的思考のプロンプト作成」や「AIを使った業務プロセスの再設計」について、
「自分の業務ならどう当てはめればいい?」
「具体的にどんなプロンプトを書けばいい?」
と疑問に思われましたら、ぜひ具体的なシチュエーションを教えてください。一緒に最適な「車種」と「ルート」を考えさせていただきます。
Cosmico 代表:熊谷
h.kumagaya@cosmicoai.com